
宅録のボーカル素材にエアコン音とリップノイズが乗っちゃってて…iZotope RX 11が定番らしいけど、最近Waves Clarity Vxっていうのも気になってます。値段が3倍くらい違うんですけど、どっちを買えばいいですか?

結論から言うと「ボーカル素材だけをサクッと処理したいならClarity Vx、ボーカル以外の素材修復までやるならRX 11」が答えだよ。どちらもAIノイズ除去の最前線だけど、設計思想と得意分野がまったく違う。両方を毎日のラップミックスで使い込んでる筆者が、7項目で徹底比較していくね。
音声修復・ノイズ除去プラグインの2大巨頭と言えば、業界標準として10年以上君臨するiZotope「RX 11」と、AI特化型でリアルタイム処理を実現する後発の刺客Waves「Clarity Vx」。前者はあらゆる音声トラブルに対応する万能スイート、後者はボーカル/ダイアログのノイズ除去に特化したシンプル設計と、コンセプトが正反対の2本だけに、どちらが自分に合うか判断が難しいですよね。
本記事では、ラップ/ボーカルの宅録ミックスで両プラグインを実戦投入してきた現役ラッパー兼DTMerの筆者SAGEが、iZotope RX 11 AdvancedとWaves Clarity Vx Proを7項目で徹底比較。最後に「あなたならどっちを選ぶべきか」を3パターンのタイプ別診断で明確にお答えします。
RX 11とClarity Vxの基本情報
iZotope RX 11|業界標準の音声修復オールインワンスイート
RX 11は、ノイズリダクションのパイオニアiZotopeが2024年にリリースした音声修復プラグインの総合スイート。Hollywood映画/テレビ番組/ポッドキャスト/音楽制作現場で業界標準として採用されており、Emmy賞を3度受賞している実績があります。
最大の特徴は20種類以上の修復モジュールを搭載した網羅性。ホワイトノイズ除去(Spectral De-noise/Voice De-noise)はもちろん、リップノイズ除去(Mouth De-click)、クリックノイズ除去(De-click)、リバーブ除去(Dialogue De-reverb)、クリッピング修復(De-clip)、口元の風切り音除去(De-plosive)、楽器の分離(Music Rebalance)、AI型自動修復(Repair Assistant)まで揃っており、まさに「音声トラブル対応の万能箱」です。
Elements/Standard/Advancedの3エディションがあり、Advanced版は単体販売で$1,199(Plugin Boutique定価)。スタンドアロン版「RX 11 Audio Editor」も付属しており、波形を直接編集して特定のノイズだけを範囲選択して除去するという、他のプラグインにはできない芸当も可能です。
Waves Clarity Vx|AI特化のリアルタイム・ボーカルノイズリデューサー
Clarity Vxは、Wavesが2022年にリリースしたボーカル/ダイアログ専用のAIノイズ除去プラグイン。Wavesの誇るNeural Networks(数十万本のボーカル素材で学習させた独自AIエンジン)をコアに据え、「ノブ1個でリアルタイム処理」というシンプル設計を貫いています。
使い方は驚くほど簡単で、トラックにインサートして巨大な「Amount」ノブを回すだけ。AIが背景ノイズだけを瞬時に検出し、ボーカルそのものは一切劣化させずにノイズだけを抑え込みます。Pro版には4つのニューラルネットワーク(Broad 1/Broad 1 HF/Broad 2/Broad ECO)と6バンド独立処理が追加され、用途に応じて最適なAIモデルを選択可能。
無印Clarity Vxは$199、Pro版は$249(Plugin Boutiqueセール時)と、RX 11 Advancedの1/5以下の価格でリアルタイム動作を実現している点が最大の魅力です。
RX 11 vs Clarity Vx|スペック比較表
| 項目 | iZotope RX 11 Advanced | Waves Clarity Vx Pro |
|---|---|---|
| 定価(Plugin Boutique) | $1,199 | $699(セール時$249) |
| 得意ジャンル | 音声全般(楽器・環境音・ダイアログ・ボーカル) | ボーカル/ダイアログ特化 |
| 処理方式 | オフライン中心+リアルタイム一部対応 | 完全リアルタイム/フルオートメーション対応 |
| AI技術 | 機械学習+スペクトル解析 | Waves Neural Networks(4種類のAIモデル) |
| 搭載モジュール数 | 20種類以上 | 1モジュール(多機能ノイズ除去) |
| 対応素材 | 音声全種類(ボーカル・楽器・環境音) | ボーカル・ダイアログのみ |
| UI/操作性 | 多機能で習熟が必要 | ノブ1個で即完結 |
| CPU負荷 | 中〜高(モジュールにより異なる) | 低〜中(ECOモードで激軽) |
| スタンドアロン版 | あり(RX 11 Audio Editor) | なし(プラグインのみ) |
| こんな人向け | 音声修復を本業/副業でやる人 | ボーカル素材を素早く処理したい人 |
7項目で徹底比較|RX 11 vs Clarity Vx
①ノイズ除去の音質|RX 11が圧倒的網羅性、Clarity Vxはボーカル特化で互角
音質面の評価は「素材次第」です。ボーカル/ダイアログ単体の素材なら、Clarity Vx ProはRX 11 Voice De-noiseと互角、もしくは部分的に上回ることすらあります。Wavesがボーカル特化で学習させたAIモデルだけあって、人の声を残しつつ背景ノイズだけを引き剥がす精度は驚異的です。
一方、ボーカル以外の素材(楽器録音/環境音/フィールド録音/古いレコード)になるとRX 11が圧勝。Spectral De-noiseのスペクトル編集や、機械学習を組み合わせたDialogue Isolateなど、Clarity Vxでは対応できない素材が山ほどあります。RX 11は「あらゆる音声トラブルに対応できる万能スイート」、Clarity Vxは「ボーカル素材だけは最速最高品質」と覚えておきましょう。
②処理速度|Clarity Vxの圧勝(リアルタイム vs オフライン)
処理速度はClarity Vxが圧倒的に有利です。Clarity VxはDAW上のトラックにインサートしてリアルタイムでAI処理が走るため、ノブを動かしながら音を聴いて即座に効き具合を判断できます。さらにフルオートメーション対応なので、サビだけノイズ除去を強める、Aメロは弱めるといったきめ細かい制御も簡単。
対するRX 11は、ほとんどのモジュールがオフライン処理(処理ボタンを押して数秒〜数十秒待つ)が基本。最新のRX 11ではDialogue Isolateなど一部モジュールがリアルタイム化されましたが、最高品質モードはオフライン専用。「DAWで作業中にサクッと適用」という用途なら、Clarity Vxの即応性に軍配が上がります。
③操作の習熟難度|Clarity Vxは10分、RX 11は数日〜1週間
操作性はClarity Vxの圧勝です。Clarity Vxは無印版なら巨大なAmountノブが1個だけ、Pro版でも6バンドのスライダーとAIモデル選択のみ。インストールから「使えるようになるまで」が10分かかりません。
RX 11は20以上のモジュールがあり、それぞれが独自のパラメータと推奨設定を持っています。ノイズプロファイル学習、スペクトル選択、各モジュールの使い分けなど、本格的に使いこなすには数日〜1週間程度の学習コストを覚悟する必要があります。とはいえ「Repair Assistant」という自動修復モジュールを使えば、初心者でもボタン1つで適切な修復チェーンを組んでくれるので、上級モジュールに手を出さなければ意外と簡単に始められます。
④CPU負荷|Clarity Vx ECOモードの省力性が光る
CPU負荷は素材数とモジュールにより変動しますが、Clarity Vx Proの「Broad ECOモード」は驚異的に軽いのが特徴。多数のボーカルトラックに同時挿しできるのは、何十本もボーカルレイヤーを重ねるEDM/HipHopプロデューサーには大きなメリット。
RX 11はオフライン処理が中心なので、リアルタイムCPU負荷を気にする必要があまりありません。ただしDialogue Isolateのリアルタイム処理は重め。長時間素材を処理する場合は、RX 11のオフライン処理が圧倒的に効率的です。
⑤対応素材の幅|RX 11が圧勝(万能 vs ボーカル特化)
対応素材の幅はRX 11の独壇場。ボーカル素材しか想定していないClarity Vxに対し、RX 11は以下の素材すべてに対応します。
- 音楽制作: マイクのハム/エアコン音/モニタからの音漏れ/クリック/ポップ/歯擦音
- ポッドキャスト/配信: 環境音/タイピング音/口くちゃ音/プロソディ修復/レベル調整
- 映像音声: ロケ素材のリバーブ除去/風切り音除去/ダイアログ分離/楽器分離
- 音源復元: 古いカセットテープのワウ/フラッター修復/レコード針音/SP盤ノイズ
ボーカル以外の素材も日常的に扱う人なら、RX 11一択です。逆に「自分のボーカル素材しか処理しない」という人にRX 11は完全にオーバースペック。
⑥価格/コスパ|Clarity Vxが圧倒的(1/5以下の投資で済む)
価格は両者の最大の違いと言ってよいでしょう。Plugin Boutiqueでの実売価格は以下の通り(セール時)。
- RX 11 Standard: $399(セール時$299)
- RX 11 Advanced: $1,199(セール時$799〜)
- Clarity Vx: $199(セール時$99前後)
- Clarity Vx Pro: $699(セール時$249前後)
「ボーカルノイズ除去だけなら、Clarity Vx 無印版で十分」というのが現場の感覚。RX 11と同等のボーカルノイズ除去性能を、1/5以下の投資で得られます。一方、対応素材の網羅性まで含めて評価すると、RX 11 Advancedの$1,199でも「現場では絶対に元が取れる」のが事実。用途次第でコスパの結論が真逆になるのがこの2本の特徴です。
⑦エコシステム/拡張性|RX 11が圧勝(モジュール単独使用が可能)
RX 11 Advancedは各モジュールを個別のプラグインとしてDAWで使用可能。例えばVoice De-noiseだけをプラグインとして挿し、ボーカルチェインの一部に組み込むといった使い方ができます。さらにスタンドアロン版「RX 11 Audio Editor」では、波形を直接視覚的に編集して特定の範囲だけノイズ除去するといった芸当も可能。
Clarity VxはDAWプラグインとしてのみ動作し、スタンドアロン版はありません。ただしWavesエコシステム(StudioRack/StudioVerseなど)と連携しやすく、Waves製品をすでに揃えている人にとっては学習コストが低く済みます。
あなたはどっちを買うべき?タイプ別診断
【タイプA】RX 11 Advancedを選ぶべき人
- 映像音声/ポッドキャスト/配信を含む音声修復を仕事にしている
- 古い音源のレストア/レコード針音除去をやりたい
- Music Rebalanceで楽器分離をやりたい(カラオケ作成/リミックス)
- Dialogue Isolateで野外ロケのリバーブ除去が必要
- 「将来的に色んな音声トラブルに対応できる装備が欲しい」
これらに1つでも当てはまるなら、迷わずRX 11 Advanced。投資額は大きいですが、対応できる素材の幅が桁違いに広く、長期的に見れば必ず元が取れます。RX 11 Standardでも音楽制作用途は十分カバーできるので、予算が厳しい場合はStandardから始めて将来Advancedにアップグレードする戦略もアリ。
【タイプB】Clarity Vx Proを選ぶべき人
- 処理対象がボーカル/ダイアログのみ(楽器素材は手を出さない)
- リアルタイム処理で作業効率を最大化したい
- 多数のボーカルトラックに同時挿ししたい(EDM/HipHop制作)
- シンプルな操作で時短したい
- RX 11はオーバースペックだと感じている
これらに当てはまるなら、Clarity Vx Proが最適解。「自分のボーカル素材だけクリーンにしたい」という用途なら、RX 11は機能の95%が無駄になります。
【タイプC】両方買うのが最強(プロの選択)
実は現場のプロは「両方所有して使い分ける」のが定番。日常のボーカル作業はClarity Vxでサクッとリアルタイム処理し、複雑な素材修復が必要な案件だけRX 11を立ち上げる。Clarity Vxは$99〜199のセールで買えることが多いので、RX 11ユーザーが追加投資するハードルも低めです。
まとめ|万能型のRX 11、特化型のClarity Vx
音声修復・ノイズ除去プラグインの2大巨頭、iZotope RX 11とWaves Clarity Vxは、設計思想がまったく違うのでカニバりません。「ボーカル素材しか扱わないならClarity Vx、対応素材の幅が必要ならRX 11」というシンプルな基準で選べばOK。
個人的なおすすめは「まずClarity Vx Proを買って日常のボーカル作業をリアルタイム処理に置き換え、本格的な素材修復が必要になったタイミングでRX 11 Advancedを追加する」という二段階戦略。両方揃えてもRX 11 Advanced単品より安い場合があり、対応範囲は最大化できます。

筆者の本音を言うと、ラップ宅録のリアルタイム作業ではClarity Vx Proが手放せない。でも昔のミックスダウン素材の修復案件が来たとき、RX 11がなかったら絶対に納品できなかった。「どっち1本」じゃなくて「どっちが先か」で考えるのが正解だよ。
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購入リンク(Plugin Boutique)
両プラグインともPlugin Boutiqueで購入可能。下記リンクから購入すると、Plugin Boutiqueの無料プラグイン1本がもらえます(時期により内容変動)。セール時は定価から60〜70%OFFになることも多いので、まずは現在価格をチェックしてみてください。

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